【ビザ】不法就労とその対策!日本の労働市場における課題と解決への道筋をわかりやすく行政書士が解説
はじめに
近年、日本の労働市場において外国人の不法就労が大きな問題となっています。
不法就労とは、在留資格上認められていない就労活動を行うことや、就労が認められる在留資格であっても資格外活動許可の範囲を超えて就労することを指します。この問題は、日本の労働市場の健全性を脅かすだけでなく、外国人労働者の権利保護の観点からも重要な課題となっています。
本記事はこの問題について、ビザ専門の行政書士がわかりやすく解説いたします。
不法就労の現状
法務省の統計によると、令和3年に摘発された不法就労外国人は6,355人に上りました。この数字は氷山の一角に過ぎず、実際の不法就労者数はさらに多いと推測されています。
不法就労の形態は多岐にわたり、観光目的の短期滞在者が就労する場合や、留学生が資格外活動許可の範囲(週28時間)を超えて働く場合、技能実習生が許可された業種以外で働く場合などが代表例となっています。
これらの不法就労は、入管法 第19条および第70条に違反する行為です。
不法就労の背景と影響
不法就労が発生する背景には、複雑な要因が絡み合っています。
日本の深刻な人手不足、外国人労働者の母国における経済的困窮、そして日本の高い賃金水準への憧れなどが主な要因として挙げられます。また、一部の雇用主が法的リスクを承知で安価な労働力を求めることも、不法就労を助長する一因となっています。
不法就労は、社会に大きな影響を及ぼします。例えば、適切な労働条件や社会保障が確保されないため、外国人労働者の人権が侵害される恐れがあります。また、正規の手続きを経て就労する外国人労働者との不公平な競争を生み出し、労働市場の秩序を乱すことにも繋がります。さらに、税収の減少や社会保険制度への悪影響など、日本経済への問題も引き起こします。
対策と今後
現行の対策
不法就労問題に対処するため、日本政府は様々な対策を講じています。入管法第73条の2では、不法就労者を雇用した事業主に対して、3年以下の懲役または300万円以下の罰金を科すことを定めています。この罰則規定により、雇用主側の意識の改革を促しています。
また、2019年4月に施行された改正入管法では、新たな在留資格「特定技能」が創設されました。これにより、一定の技能と日本語能力を持つ外国人材が、これまで就労が難しかった分野でも合法的に働けるようになりました。この制度は、不法就労の減少にも寄与することが期待されています。
今後の取り組み
政府は、事業主に対する啓発活動の実施、外国人労働者向けの相談窓口の設置、入国管理局と労働基準監督署の連携強化などの取り組みを強化しています。
これらの対策に加えて、今後は外国人労働者の権利保護をさらに強化し、外国人の方が安心して働ける環境を整備することが重要です。また、日本社会全体で多文化共生の意識を高め、外国人労働者を受け入れる土壌を醸成していくことも不可欠です。
まとめ
不法就労問題の解決には、法的規制の強化だけでなく、外国人労働者の受け入れ体制の整備や、日本社会の意識改革が必要不可欠です。政府、企業が一体となって取り組むことで、外国人労働者と日本社会の双方にとって望ましい労働環境を実現することができるでしょう。
この課題に対する継続的な取り組みは、日本の労働市場の健全性を保ち、同時に国際社会における日本の評価を高めることにもつながります。不法就労問題の解決は、日本が真のグローバル社会へと歩みを進める上で、避けては通れないステップといえます。
本記事では不法就労について解説させていただきました。お読みいただきありがとうございました。
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行政書士 中木将弘
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